ターゲットについてPROJECTS

ゼロカーボンものづくり

京都府のものづくり

西陣織や丹後ちりめん等の伝統工芸品に代表されるように、京都は古くから繊維産業が盛んな地域です。また、繊維以外にも様々な製造業が営まれています。こうした「ものづくり」産業では、SDGs(国連の持続可能な開発目標)やカーボンニュートラルへの対応が急務であり、京都議定書の誕生の地でもある京都では、世界に先駆けて低環境負荷な材料生産システムを実現することが求められています。

西陣織
西陣織/KYOTO ARTISTRY

ものづくりのゼロカーボン化への貢献

本拠点では、微生物やバイオマスを用いて新たな高分子材料を開発します。本事業の特徴は、無尽蔵にある二酸化炭素と窒素、海水そして太陽光から、プラスチックに代表される高分子材料を合成・生産する技術を確立することです。特に、現在研究開発を進めているバイオ高分子は、成形加工において有機溶剤や高温条件を必要としないため、従来の石油由来のプラスチックや化学繊維等と比較して環境に優しいプロセスでの生産が可能です。これにより、京都のものづくり産業に新たな潮流を生み出すとともに、ものづくり事業者のブランド力や企業価値の向上に貢献します。

丹後ちりめん
丹後ちりめん/KYOTO ARTISTRY

ゼロカーボン水産業

京都府の水産業・養殖業

京都府の漁業生産量は、昭和末期に10万トンを超えたのを境に、マイワシの減少などにより低下し、ここ数年は一万トン強で推移しています。京都府は北部に豊富な海洋資源を有し、トリガイの養殖など全国的にも珍しい魚介類の養殖が行われています。近年では、陸上養殖の実現可能性も高まっており、海洋資源を有する京都府にとっても、また海洋国家である日本にとっても、持続可能な養殖業の発展は重要なターゲット市場です。
京都府では、養殖業生産量・額の回復に向けて、次代の漁業者を確保・育成するともに、“京都産”をコンセプトとした魚類養殖の復活を推進しています。

出典:農林水産省「漁業産出額」「海面漁業生産統計」
養殖作業/(公社)京のふるさと産品協会

漁業のゼロカーボン化への貢献

養殖業においては、経営的な観点から、より良い養殖魚をなるべく安く安定的に生産することが求められています。本拠点では、安価で高機能の養殖用飼料を開発することにより、養殖魚の安定的な供給と高付加価値化を図ります。特に、本事業においては、京都大学をはじめとする参画機関の先端技術をベースとして、大気中の二酸化炭素や窒素から、養殖する魚貝類の生育フェーズや目的に応じてタンパク質成分を最適化した高機能飼料を開発します。これにより、二酸化炭素排出量の削減と養殖業の活性化に取り組み、ゼロカーボン水産業の創出を目指します。

丹後とり貝
丹後とり貝/京都府漁業協同組合

ゼロカーボン農業

有機農業市場の拡大

世界的な人口の増加によって需要が急増する食料・農作物の生産を支えるため、様々な肥料が利用されていますが、化学肥料を過剰に使用すると、土壌中の生物活動が低下し、土壌の質が損なわれることが知られています。近年、持続可能な農業への意識の高まりから、オーガニック肥料・有機農業の需要が拡大しており、2018年時点のオーガニック(有機農業)市場規模は967億ユーロと、2000年時点(151億ユーロ)と比較して6倍超まで成長しています。

出典:京都の環境にやさしい農業のススメ/京都府

京都府のブランド農産品のさらなる高付加価値化

京都府は「京都こだわり栽培指針」を策定し、農薬・化学肥料の使用を減らした環境にやさしい農法の普及に取り組んでいます。京都府内の市町村で広く生産されている京野菜や抹茶は高付加価値な農産物に位置付けられ、本拠点で開発する新たなオーガニック肥料の利用により、さらなるブランド力の向上・国内外への市場拡大が期待されます。

京野菜/(公社)京のふるさと産品協会
京野菜/(公社)京のふるさと産品協会

農業のゼロカーボン化への貢献

本拠点では、大気中の二酸化炭素や窒素から農業用肥料を作る技術を確立し、新たなオーガニック肥料の開発を行います。
これにより、温室栽培など農業により排出される二酸化炭素を実質的に削減し、新たなブランドとしてゼロカーボン農産物の生産技術の確立を目指します。

ゼロカーボン林産業

京都府の森林・林業・林産業

京都府の森林・林業・林産業 京都府の森林率は74%と全国平均より高く、府内の人工林の7割が木材として利用可能な時期を迎えています。また、府内全域に森林が存在することも特徴であり、北山杉、丹波くり、乙訓のタケノコに代表されるように、それぞれの地域で様々に森林資源が利用されてきました。一方、森林所有や林業事業体の小規模性などから、府内の木材自給率は3割にとどまり、林業経営の収支悪化や、手入れ不足の人工林・里山林の増加、放置竹林の拡大などが問題になっています。

出典:京都府林業統計(令和4年版)

林業・林産業の
ゼロカーボン化への貢献

本拠点では、京都大学を始めとする参画機関による研究開発によって、京都府のそれぞれの地域の自然・人文社会環境に適合し、ゼロカーボン林産業に貢献する次世代の森林経営モデルの開発と、低質材や林地残材、樹皮等の製材残材から価値の高い機能性化合物を合成する技術の開発に取り組み、カーボンネガティブ林業、ゼロカーボン林産業の創出を目指します。まずは京都大学宇治キャンパスが所在する山城地域を手掛かりに研究を進めながら、府内に研究対象を広げていきます。

「さとやま化学工房」のイメージ図

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