技術開発についてTECHNOLOGY

全体像

研究開発

機能性の高いバイオ高分子生産技術

カイコやクモ由来のシルクは、構造タンパク質のひとつであるシルクタンパク質からなる繊維であり、生分解性や生体適合性に加え、軽量かつ強靭という特性を併せ持ちます。
特に、クモ糸は、鋼鉄に匹敵する靭性(タフネス)を示すことから、高い衝撃吸収性が求められる構造材料への応用も期待されています。現在、さまざまな生物種をホスト生物としたクモ糸シルクの生産が試みられています。

微生物による二酸化炭素固定技術

紅色光合成細菌(Rhodovulum sulfidophilum) は、カルビン回路による二酸化炭素固定とニトロゲナーゼによる窒素固定を行うことが知られています。
海洋性の紅色光合成細菌は、地球上に豊富に存在する海水と大気中の二酸化炭素および窒素を原材料とし、同じく無尽蔵な太陽エネルギーを栄養源として利用できることから、環境負荷の低減という点で魅力的な物質生産システムであると言えます。
例えば、光合成細菌を用いてバイオプラスチックであるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)や水素を生産することが可能であり、その生産効率は藻類などと比較して非常に高いことが明らかとなっています。

海洋性紅色光合成細菌を用いたクモ糸シルクタンパク質の生産技術

紅色光合成細菌は、二酸化炭素固定能に加えて窒素固定能を持つことが知られていますが、近年、京都大学と理化学研究所の共同チームは、海洋性の紅色光合成細菌にジョロウグモの牽引糸タンパク質の一つである「MaSp1」をコードする遺伝子を導入し、細胞内でシルクタンパク質を産生することに成功しました。
さらに、このタンパク質を生成し、クモ糸様のファイバー構造を再現することにも成功しています。
これにより、光、海水、窒素、そして二酸化炭素から、環境にやさしい易分解性の高分子や強靭な繊維素材等の新たな素材を作ることができるようになると期待されています。

光合成生物を使った資源循環

空気から作る高分子材料で未来を紡ぐ

京都大学学内ファンド「くすのき・125」において行われた、本拠点の技術シーズに関する沼田プロジェクトリーダーへのインタビューです。

林産業残材からの有用化合物の合成法の開発

京都府の74%は森林ですが、手入れ不足が慢性化しており、森林資源の有効利用が大きな課題です。製材品利用+αとなる木質バイオマスの産業用途の創出を目指して、バイオスティミュラント物質として注目されているフルボ酸様化合物や、生理活性を有するイミダゾール類の林産業残材からの合成を目指します。

次世代の森林経営モデルの開発

木質材料を基礎としたゼロカーボン社会モデルのためには、持続可能な森林経営が欠かせません。この目的のためには、
 ①木質資源の持続可能な供給
 ②森林のもたらす生態系サービスの維持
が不可欠です。ここでは、上記2つの課題に対して、デジタルトランスフォーメーション(DX)などを駆使した精密林業技術の向上と、生物多様性と生態系サービスの関係解明と維持に向けた技術開発に取り組みます。

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